0-38:フット・プレッシャー(足裏で床を踏み込む)
チャンピオンクラスの先生が、ちょっとした「英単語」を使って説明するだけで、「超!高度なテクニックを伝授して貰っている」ような錯覚を受け、「この世のものとは思えないくらい、ありがたい気分!」になってしまうのは、なんとも不思議な話である。
そんな「英単語」中に「フット・プレッシャー」というのがある。
footは足(足首より下)、pressは圧力なので、直訳すれば
「足で(床に)圧力を掛けろ」
というような意味になるかと思います。
では、この「フット・プレッシャ-」は、どういうときに使うのでしょうか?
■ 左足のフット・プレッシャーで(前への移動から)横への移動にチェンジ
ワルツの練習の際、「クローズド・チェンジ」の他、いわゆる「ボックス」の練習などでも、よく見かけるこの光景。
【28】→【29】において、男性は左足に体重を掛けて、左足の足の裏全体を使って、床に圧力を掛けています。
それと同時に、右足を引き寄せています。
【29】→【30】では、引き寄せた右足の方向を、右横への運動に変えています。
小学生から高齢者まで、誰でも出来ますが、「フット・プレッシャー」という言葉の解釈によって、「動きの基本」が、大きくが変わってくるはずです。
通常のスウィングでは、左足は「後ろから前」への動きになります。
ここで、「左足のフット・プレッシャー」を強く使うことによって、(後ろから前へ進む左足を)、横への運動に変える・・・・・ということになります。
■ 意識的に「圧力を掛ける」?否応なしに「圧力が掛かってしまう」?
ここで、「フット・プレッシャー」という英単語の解釈が重要になってきます。
「フット・プレッシャー」というのは
「左の足に体重を乗せることで、床に対して、積極的に強い圧力を掛けろ!」
ということなのか?
それとも
「否応なしに、強い圧力が掛かってしまうような、ボディの動きを作り出せ!」
ということなのか?
これによって、「フット・プレッシャー」の解釈が大きく変わってくるはずです。
では、「体重も変化せず、足の裏の面積も変化しない」という条件で、「床への圧力」を高くするときには、どうすればよいでしょうか?
具体的には、60kgの男性が、片足だけで「体重計」に乗ったとき、体重計の針が振り切れるくらいに、体重計の針を動かすには、どうすればいいか? を考えて行くと、わかりやすいかと思います。
【28】のように、両足を大きく開いた位置から、骨盤が移動し、
【29】の位置で左足の真上で、骨盤をピタッっと静止したならば、
慣性エネルギーの変化によって、体重計の針は振り切れるはず。
このとき、左足の足の裏で、床を押さえつける圧力は高くなるはずです。
これを「意識的」にやるか、否応なしに「なってしまう」かの違いが、「基本動作の根本的な違い」となってくるはずです。
■ 直線性(直進性)の強い動きでは、意識的に床に圧力を掛ける!
両足を平行に揃えて、背中を壁に付けた姿勢から、真っ直ぐボディを出すことが出来る人は、そのまま「真っ直ぐ」に左足を前に出していけばよい。
着地した左足の膝と足首を深く曲げて、左足の真上で、ボディを静止させれば、その瞬間に、足の裏に強い体重が掛かる。(床に圧力を掛けることができる)
左足で床に圧力を掛けたところから、左足の膝と足首を伸ばしていけば、比較的簡単に、右足の進む方向を横に変えることが出来る。
■ 左足が、外側に曲がっていく人は、「踵が浮きあがる直前」を狙う!
左足が真っ直ぐに進まず、外側に曲がっていく(それていく)人は、左腕の小指側を後方に引く動きと、足の裏側の動きを連動させることによって、「前方に動く足」の方向を修正して、足が動く方向を(ある程度)真っ直ぐに補正することが出来る。
足の表側は、斜め前方に進もうとし、足の裏側は、斜め後方に進もうとする。
無意識に行われる「絶妙なバランス」によって、足は(ある程度)真っ直ぐに進んでいく。
で、「前方に動く足」の踵が床に着地すると、「足の表側」と「足の裏側」との力のバランスが崩れる。
バランスの崩れは、反対の足にも大きく影響する。
【圧-22】左足が着地するタイミングで、「足の裏側の力」はゼロになる。
「左足の表側の力」は強くなり、左足(膝)は外側に向かって進もうとする。
「足の表側の力」は、左右の均等になろうとするので、右足の表側の力も、斜め前方に向かって働く。 結果、(床に貼り付けておいても)右足が、前方に引っぱられる。
【圧-24】から【圧-25】に掛けて、「足の裏側の力」が強くなり、踵が浮き上がる【圧-26】のタイミングで最大になる。
クローズドチェンジ(及び、ワルツのボックス)に於いては、【圧-25】から【圧-26】に変わるタイミングで、足の裏全体が床についた(足裏フラット)右足が、左足と揃うようにすれば、右足は右横へと進路を変える。
「右足の表側の力」が最大化しているところに、「右足の裏側の力」が強烈に掛かるので、右足の方向は、否応なしに、横に変えられてしまう。
右足の方向が急激に変わることにより、ボディの動きは止められ、床への圧力は最大になります。
● クローズドチェンジで、右足の進路を、前から横へ変えてみよう!
足の表側と裏側を使った動きを駆使して、足の進路を変えるために、「便利な腕の位置」があるので紹介します。
たぶん、出来る人と出来ない人がいるハズ。「出来る人」は、すぐに出来ます。
出来ない人は、永久に「出来ない」、というより「理解出来ない」かもしれない。
個人差(あるいは先入観による拒絶感)は、かなり大きいです。
上の図のように、両肘を斜め前に出し、掌(てのひら)を下に向けます。
左手は、親指と人差し指を離し、右手は親指を人差し指に強く押しつけます。
そして、両足を開いてボールの上に体重を載せます。
左足を前方に出そうとしても、真っ直ぐに進みません。外側に曲がっていきます。
「左足が、変なところに着地するぞ!」と感じたら、両腕・両手首を内側に曲げます。
掌(てのひら)は「下向き」を継続、指の形状も変化させないように気を付けます。
左足の踵が着地し、足の裏全体が床に着き、足の裏が浮き上がろうとするハズです。
右足の足の裏を床に付けておけば、このタイミングで、右足は左足の横に寄ってきます。 そして、右足は進路を変えて、右横(少し前)へと進んで行きます。。
これを、「フット・プレッシャ-」と呼んでいいのかどうか、賛否両論あると思いますが、かなり興味深い動きになります。
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