9-11:右手は拳(陽/太陽)、左手は掌(陰/月)
社交ダンスとは、まったく関係なさそうなのが、太極拳。
社交ダンスと太極拳の両方をやっている人もいるけれど、両者の基礎に関係があるのかないのか、なかなか教えて貰う機会は「無い!」
本を読んでいると、「左と右の違い」について、書いてあった。
正直、これは、すごい!
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誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」
・著 者:真北斐図(まきた あやと)
・発売日:2011年08月
・出版社:BABジャパン
・ページ数:203ページ
・価 格:1575円(1500円+消費税)
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内容紹介(「BOOK」データーベースより)
太極拳って武術なんですか?それとも健康法?どうして健康にいいの?ゆっくりな動きで戦えるの?
“今さら聞けない素朴な疑問”から、“誰も教えてくれない秘密”まで。
「なぜ」が分かるほど、上手くなる。強くなる。健康になる。
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誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」 68ページ
第4の「?」 左右対称でないのはなぜか? |
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Question 質問
白鶴亮翅や手揮琵琶は、なぜ片方だけしかないのですか?
左右対称でないのはなぜですか?
Answer 答え
太極拳の動作は、左右対称の理解ではわかりません。
本来右と左は性質が異なるのです。
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太極拳の最初の勢が「気勢(きせい)」、次の勢が「野馬分?(のまぶんぞう)」。
そして三番目の動作(第三勢)が、この「白鶴亮翅(はっかくりょうし)」になるそうです。
で、この「白鶴亮翅」の完成姿勢は、左右対称には、なっていない。
「右足に重心を掛けて立つ」動作はあるけど、逆の「左足に立つ」動作はありません
・・・・とのこと。
「手揮琵琶(しゅきびわ)」も、同様に右足で立っています。左足の手揮琵琶は無いとのこと。
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誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」 68ページ
第4の「?」 左右対称でないのはなぜか?
7.右手は陽で 左手は陰 |
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(前略)
それは、中国式のあいさつのことです。
太極拳の表演者がステージで客席に向かって挨拶するとき,左手の掌に右手の拳をつけて、礼をします。中国の伝統的な挨拶です。
その右手の拳は「陽(太陽)」を、左手の掌は「陰(月)」を表しています。
体の右と左では、役割が違うのです。表面の見た目では左右対称でも、人体の深いところで観察すると、それはシンメトリーではなく、ほぼ例外なく共通した「左右の違い」があるのです。
(中略) 下に続けます
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誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」 68ページ
第4の「?」 左右対称でないのはなぜか?
7.右手は陽で 左手は陰 |
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(前略) 続き・・・・
右手は「攻撃」、剣や矛を持つ手です。左手は「防御」、盾を持つ手です。この事例は世界中の様々な地域で見ることができます。
盾は左手に持って初めて役に立ちます。右手に盾は持てません。なぜなら、右手には、左手に比べ支える力がないからです。これは右手になにか重いものを持って、実際に試してみれば実感できるはずです。
(中略)
運動が盛んなのが「陽」の右手、それを抑え込んだり、バランスを取るのが「陰」の左手なのです。
武術とは左右の違いを理解して行う身体操法なのです。 |
最後の1行が、とても印象的です。
日本(あくまで日本国内)の社交ダンス(スタンダード種目)では、左右の違いについて説明するどころか左右の違いについて、触れようとする人すら、皆無といっていい(トッププロを含めて)ので、差は歴然です。
では、「中国の伝統的な挨拶」である、「左手を掌(陰)・右手を拳(陽)」の原則が、どのくらい「社交ダンス」に通用するか、試してみましょう。
「左手を掌(陰)・右手を拳(陽)」の考え方の有無は、「太極拳」の動きよりも、もしかしたら「社交ダンス」の動きの方が、大きな差として出てくるかもしれません。
これ以外にも、太極拳には、とても興味深い「概念」が存在するようです。
「天の中心軸」と「地の中心軸」という概念です。
単に「両手でボールを抱きかかえている」意識と、「左手の掌・右手の拳」を意識、さらにこれを逆にした「左手の拳・右手の掌」の意識では、「地の中心軸」の意識には大きな違いはありませんが、「天の中心軸」の意識に、非常に大きな違いが出てくるように思えます。 どうでしょうか?
社交ダンス(スタンダード種目)においては、「自分の中心」と「ふたりの中心」という考え方も成り立ちます。
両肘を持ち上げた、「社交ダンスのホールド」、「ボールを抱きかかえたイメージ」に該当するのか?、それとも「両肘を真横に張ったイメージ」に該当するのか?
この違いは、とても重要ですね。
この先は、「太極拳」とは、まったく無関係・・・・
この先は、「社交ダンス(スタンダード)」の世界として、詳しく説明していきます。
もし、両者に共通点があったら、それは「すごい!」ことだと思います。
-*-*-*-*-*-*- この先、太極拳とは、関係ありません -*-*-*-*-*-*-*-
● 右手の拳(こぶし)の攻撃を、左手の掌(てのひら)で受けとめる。
「左手を掌(てのひら/陰)・右手を拳(こぶし/陽)」の「バリエーション(!)」を、7つ,考えてみました。 いずれの形においても、ボディは同じような動きをします。
【2】が基本形・・・としましょう。
右手の拳(こぶし)の角で、ぎゅーーーっと、左手の掌(てのひら)を押しつけます。
【3】は、
右手の拳(こぶし)の角で、ぎゅーーーっと、左手の掌(てのひら)を押しつけたまま、左手の掌(てのひら)で、右手の拳(こぶし)を、優しく包み込みます。
【1】は、両手を少し離したところです。
左手に、「右手の拳の角」の余韻を残したままに、両手を少しずつ離していきます。
「右手と左手が関連づけられている」という表現が良いのか「左手に右手の余韻を感じる」という表現が良いのかわかりませんが、「左手と右手がそっぽを向く」のとは反対の意味です。
【4】は、左手の掌(てのひら)の先端(実際には指です)を、右手の拳(こぶし)の中に突っ込んで、右手の動き(攻撃性)を抑え込みます。
【5】【6】は変則パターン。 左手の掌の先端(実際には指です)を、逆方向から、右手の拳の中に突っ込んで、右手の動き(攻撃性)を抑え込みます。
そして、左右の違いが出やすく、違いが明確に出やすいのが【5】の変形。
右手に拳(こぶし)を作り、右手を脇の下から背中に回す。
左手の掌(てのひら)を肩の上からまわして、指先を右手の拳の中に入れて、引っぱる形。
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それでは、7つのバリエーションで、実験開始です
「まずは、右手の拳(こぶし)を、左手の掌(てのひら)で包み込む」イメージで、ボールを持ってみましょう。ボールは、正面では無く、左斜め前に置いて、そこからボールをそして垂直に持ち上げます。
両手の形は【1】、つまり「両手を少し離して、「右手の拳を左手の掌で受ける」形です。
これで、腰の左前方のボールを持ち上げると、「腰はボールの方向を向く」はずです。
ついでに、ボールを左右に動かして見ましょう。
ボールを動かせば、「おへそ」は、ボールに連動して動くと思います。
この形で、社交ダンスのホールドを作っていくと
、
これと同じようなホールドになってくるはずです。
以前の実験を、もう一度確認します。
背中に手を回す実験は、下の図は【5】の変形です。
あくまで「右手の拳(こぶし)を、左手の掌(てのひら)で包み込む形」の応用です。
まず、ボディの前側で、右手で拳(こぶし)を作り、左手の掌(てのひら)に押し当てます。
そして、拳(こぶし)の角で、ボディ(右みぞおち〜脇の下〜背中)を擦りつけるようにして
右腕を持ち上げていきます。
普段、「右腕が上がらず、背中を掻くことが出来ない」人でも、こうすると、右腕が高く上がります。
さらに、左手の掌(てのひら)を、上から背中に回して、右手の拳(こぶし)を掴み込みます。
右手の拳の中に指を入れて、右手の拳を引っぱるように、つかみ込むと良いです。
ボディを回転させると、綺麗に回転できます。
肩のラインが綺麗に回転して、「おへそ」は、ほどほどに回転します。
腰の捻れ(ねじれ)は、ほとんどありません。
真っ直ぐに進むときも、同様。
足を出しても、おへそは正面を向いたまま、両肩は平行。 姿勢は全く崩れません。
背中に手を回したパターンが一番、効果が出やすいのですが、ボディの前(へその前)に両手を置いた【1】〜【6】のどのパターンにおいても、これと同じ結果になるハズです。
いずれにしても、姿勢は「全く崩れない」か「ほとんど崩れない」と思います。
次の実験です。
この実験は、「右手と左手の鬼ごっこ」みたいなものです。
逃げる右手の拳(こぶし)を、左手の掌(てのひら)が追いかけます。
右手の拳(こぶし)の向きを、いろいろ変化させます。
右手の拳が、左手から逃げる動きをさせます。
そして、左手の掌(てのひら)が、右手の拳を追いかけさせます。
左手の掌で、逃げる右手の拳を捕まえる。そして右手を包み込む。
両手が離れていても、「右手と左手が関連づけられていればOK」。
両手が離れていても、左手の掌に、右手の拳の角の余韻を感じることができればOK」。
「右手の拳(こぶし)の第二関節」を、自分が行きたい方向に向け、少し前方に伸ばしてやれば、ボディは、自然と「右手の拳の第二関節」の方向に、どんどん進んでいきます。
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この感覚、クローズドチェンジでやってみると、とても面白い動きになります。
「右手の拳(こぶし)の角」は、背中に当たっています。
両足が揃う少し手前【左-53】の時点で、「右手の拳(こぶし)」の方向を少し変えてやります。
右手の拳を、少し左に向けてやるだけで、【左-55】のように左足は左に急カーブして、「クローズドチェンジ」になります。
右手の拳の向きを、少し右に向けてやると、ワルツの「ナチュラルターン」になります。
右手の拳の向きを、変化っせなければ、スローふぉっくとロットの「フェザーステップ」になります。
すべて、「右手の拳の、微妙な動き」によって、ボディ全体の方向を変えることが可能になります。
なお、この動きに関しても、背中に手をまわす必要はなく、おへその前に両手を置く、基本の【2】のパターンでも同様な事が出来ます。 (背中に手を回した方が確実ですが。。。)
●「逆の動き」をやると、どうなるか?
それでは、中国人の挨拶とは、正反対の動きを検証していましょう。
左手に拳(こぶし)を作って、右手の掌(てのひら)で受け止めると、ボディの動きはどうなるか?
左手の拳(こぶし)で、右手の掌を、グリグリグリッ!と擦りつけてから、これをやると、腰がボールから、逃げまくります。 こんな感じになりやすいはずです。
ここで、左手に拳を作って、左手を動かしても、右手の掌(てのひら)は、追従してきません。
両手を少し離して、社交ダンスの「シャドウ」(一人で踊ってみること)してみればわかりますが、動いているうちに、どんどん両手の間隔が離れていって、最終的には、両肘が真横に行きます。
「左手に拳を作る」と、左手と右手が、お互いに「そっぽを向く」ということです。
そして、右手の肘を真横に張った状態、右手の掌(てのひら)が天井を向こうとするはずです。
最終的には、ずばり。。。このホールドと同じ立ち方になります。
「左の骨盤は反応しない、右の骨盤の前傾/後傾の反復運動によるボディを動き」になります。
試しに、両足を揃えた所から、「左手の拳(こぶし)を右手の掌(てのひら)で包み込む」 ようにして、片足を前に出して見てください。 たぶん、真っ直ぐに足を出したつもりでも、姿勢が崩れると思います。
おへその前に両手を置いて、「左手の拳(こぶし)を、右手の掌(てのひら)で包み込む」ようにした場合も、多かれ少なかれ、これに似たような姿勢になるハズです。
腰を捻らないでおこうとすれば、へそだけが回転して、肘とか腕は回転しません。
肘とか腕も、一緒に回転させようとすると、腰が大きく捻れます。
こんどは、「左手の拳(こぶし)を右手の掌(てのひら)で包み込む」姿勢で、クローズドチェンジをやってみましょう。
こうなる人もいれば、こうならない人もいるかも。
ハイヒールを履いてやれば、「右足が爪先ツンツン立ちになる」ので、地面を蹴るイメージはないかもしれませんが、それでも体重は右足に乗ってきます。
【左-22】〜【左-23】において、左肩・左肘が大きく動いて、前に出ます。
というより、左肩・左肘を、意識的に前方に押し出さない限り、ボディは前に進まないハズです。
「クローズドチェンジ」「フェザーステップ」「ナチュラルターン」の違いは、どこになるでしょうか?
すべてへは、「左肩・左肘」を前方に押し出すときの強さと、方向の違いで、ボディの方向を決めることになります。
●決まっているのが「太極拳」、どちらでもいいのが「社交ダンス」
太極拳は、動作がゆっくりしているので、姿勢が崩れたら、崩れた時点でNG。
社交ダンス(スタンダード種目)の動作(特に左肩・左腕の動作)は、かなり素早いことが多いので、姿勢が崩れることを利用して、崩れる直前に、左ボディを大きく動かしてやればOK。
もちろん、社交ダンス(スタンダード種目)も、太極拳のように、崩れないように踊ることはできますが、それが正しいとは限らないようです。
社交ダンスの場合、踊り方なんて、どうでもいいわけで、踊る人が「自分が、こっちのほうが楽しい!」と感じる踊り方を、目指せばいいんだろうと思います。
最終的には、「師匠(というか先生)が、どちらの方法で踊っているか」。。。これに尽きると思います。
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《 じゃんけんの「グー」の扱い 》
じゃんけんと言えば、「グー」「チョキ」「パー」
単純に考えれば、拳(こぶし)が「グー」で、掌(てのひら)が「パー」のように考えてしまいがちです。
でも、反対側の手の拳を、包み込もうとしたけど、拳が無かったので、結果的に「グー」になってしまった・・・というパターンもあります。
強く握った右手の拳(こぶし)を、左手の掌で、優しく包み込んだとき。
拳(こぶし)を同じ大きさのボールを、左手の掌で、優しく包み込んだとき。
拳の半分の大きさのボールを、左手の掌で、優しく包み込んだとき。
卓球の球よりも小さいボールを、左手の掌で、優しく包み込んだとき。
直径1mmのボールを、左手の掌で、優しく包み込んだとき。
これらは、「左手で拳(こぶし)を作る」のとは、違うはずです。
同じように、手を指を曲げて、じゃんけんの「グー」を作ってるように見えても、拳(こぶし)を作っている時もあれば、掌(てのひら)で優しく何かを包もうとしている時もあるように思います。
この違いは・・・・・・・「とても大きい」と思います。
この違いが、ボディ全体の動きに与える影響も・・・・大きいはずですよね。
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