9-15:「上腕の外旋」と「骨盤の平衡感覚」
人間には、「平衡感覚」というものがあります。
「左右を平衡に保とうとする習性」によって、ボディを垂直に保つことが出来る。
たぶん、骨盤にも、「左右の平衡感覚」があるはずです。
骨盤が左右どちらかに傾けば、無意識に傾きを修正して平衡に保とうとする力が働くはず。 たぶん、そういう習性はあるはずです。
前々回、「左右の骨盤の傾きが違う」という点について触れましたが、その中で難しい言葉が出てきました。
「骨盤のてっぺん」の「腸骨陵」と、「骨盤の前側の出っ張り」を表す「上前腸骨棘(ASIS)」。
では、人間の「骨盤にも平衡感覚」は、「左右の腸骨陵」でとっているのか、「左右のASIS」でとっているのか?
どちらでしょうか??? どちらでしょうね!
こんなことを意識して社交ダンスを教えている先生、いらっしゃいますか?
人間のカラダの動きには「絶対に正しい」という答えはありませんので、あくまで推測になりますが、「左右の手の上腕(肩~肘)の外旋の有無」によって、変わってくるものと思われます。
たぶん、
「上腕の外旋」がある場合は、「腸骨陵」で平衡感覚を取ろうとする。
「上腕の外旋」が無い場合は、「ASIS」で平衡感覚を取ろうとする。
という結論になるように、推測します。
これを検証するための、おもしろい実験があります。
この本で紹介している実験は、
左右の上腕(肩~肘)のどちらかを、外旋、つまり外側に回転させると、
外旋させた腕のほうに、体重が移動する。
という実験です。
逆に、
左右どちらかに体重を移動させる(どちらかの足に加重を掛ける)と、
加重を掛かった側の腕の上腕(肩~肘)は、自然に外旋(外側に回転)する。
という趣旨のことが書いてあります。
でも、ここでは、
左右の上腕を外旋させて、体重が移動したとき、
骨盤の腸骨陵/ASIS、どちらでバランスを取って、平衡感覚を作っているか?
という点に着目しながら、以下の実験をやってみたいと思います。
■ 通常は「ASIS」、上腕の外旋で「腸骨陵」でのバランスに変化
同じ実験を「錯覚のスポーツ身体学」と「常歩剣道・伝統的打突法」で行っているようなので、両方の写真を並べてみます。
なお、「常歩剣道・伝統的打突法」では、左腕の外旋を先にやってるので、順序を入れ替えてます。ご了承ください。
まずは、両方の掌(てのひら)を下向きにして、肘を真横に伸ばしてます。
この時点では、「左右のASIS」で平衡感覚を取っている人と、「左右の腸骨陵」で平衡感覚をとっている人の、両方がいると思います。
ここから、右の掌(てのひら)を上に向けて、右手の上腕(肩~肘)を外旋させます。
前腕(肘~手首)を外側に捻っても、掌(てのひら)は上に向きますが、ここでは、「可能な限り前腕を捻らず」に、上腕を外旋(外側に回転)させます。
そうすると、不思議なことに、ボディは右に移動し、体重は右足に掛かります。
このとき、骨盤の平衡感覚、というか骨盤のバランス感覚は、どこで取っているでしょうか?
右腕の上腕外旋により、右骨盤は「腸骨陵(てっぺん)」でバランスを取り、
左腕は上腕の外旋していないので、左骨盤は「ASIS(前かど)」でバランスを取る
とすれば、つじつまが合います。
明らかに高さが違う「右の腸骨陵」と「左のASIS」で平衡感覚を取ろうとすれば、ボディは右側へ移動して、右足の上に体重が乗ってきます。
こんどは、左の掌(てのひら)を上に向けて、左手の上腕(肩~肘)を外旋させます。
今まで右にあったボディは、左に移動し、体重は左足に掛かります。
上腕を外旋させると、「腸骨陵」でバランスを取るようになる・・・という推測が正しけれれば、
「左の腸骨陵」と「右のASIS」で平衡感覚を取ろうとすることになりますから、ボディは左側へ移動して、左足の上に体重が乗ってくるはずです。
これで、実験は終わり。
この推測が正しいかどうかは、他の実験も含めて検討していけばよいかと思います。
■ 日本の社交ダンスにおける「上腕の外旋」の扱いは?
「上腕を外旋させると、ボディが動く」のであれば、これを「社交ダンスにおける上級者の動き」に応用しているはずです。
そして、「社交ダンスのホールド」そのものが「上腕の外旋」を考慮したものになっているはずです。
単刀直入に、一番わかりやすく説明しているのが、西尾浩一先生。
**** この先は、後日 ****
■ 外国人の中には、「違う考え」をする人もいる!
ところが、
 |
|
あ
|
|