0-21:左腕が持ち上がらない、頑丈なホールドを作るには?
社交ダンス(スタンダード種目)では、柔らかいけど頑丈なホールド(カチンカチンに力を入れて固まっているホールドとは違う)を作るのが理想です。
男性の「正しいホールド(左腕)」は、
・左右の両方の肘の高さが同じ。
・左右の肩は下に降ろしておく。
・男性の左手の肘の角度は、約90度。
・女性と組んだときの、男女の前腕は、逆V字型。
というのが、「左腕」の注意点になります。
逆に、やってはいけない「悪いホールド(左腕)」は、
・ボディの左側(左肘・左手首)が必要以上に開いてしまう。
・左の肘が持ち上がる。(酷いときは肩より肘が高くなる)
・左手首が、垂れるように下がって、左腕が床と平行になる。
といった具合。
慣れないうちは、簡単に作れないのが、「左腕のホールド」だとも言えます。
■ 「左腕のホールド」を作るには、2つの方法がある!
初心者が、先生のアドバイスに従いながら、ホールドを作る練習をする際、
「特に、苦労しないうても、わりと簡単にホールドを作れる人」
もいれば、
「毎回毎回、叱られながらも、いつまで立ってもホールドを作れない人」
もいると思います。
これは、「才能」でもなく、「ダンスをやるための素質」でも、「運動神経の善し悪し」でもなく、「日常生活の習慣の違い」による部分が大きいと思われます。
● 左腕前腕の「回内」の有無が、「ホールド作り」を大きく変える!
「日常生活の習慣の違い」というのは、
左腕の前腕(肘~手首)の「内側へのねじれ」の有無
です。
(難しい言葉では「左腕前腕の回内」と言うらしい)
前腕(肘~手首)には、2本の骨があります。)
手で握っている棒を、内側に回転させると、2本の骨が「クロス」します。
これが「前腕の回内」になります。
● 肘を伸ばしたところから、肘を90度に曲げたとき、回内は起きるか?
社交ダンスのホールドを作るには、肩の高さに腕を持ち上げ、
「両腕を伸ばした姿勢から、左肘を90度に曲げていく」
というやり方をすると、「ホールド作りの本質」が見えてきます。
社交ダンスのホールドは、「左肘が持ち上がる」のはNG。
綺麗なホールドを作るためには、左肘を90度に曲げたとき、
「左肘は、真横ではなく、下に向いていたほうがよい」
「肘の付け根(前腕側)と、上腕で、逆方向の回転が掛かっていた方がよい」
ということになります。 こうすることで、ホールドは安定します。
ここで、日常生活の習慣での、「左腕前腕の回内」による個人差が出てきます。
個人差が、「ホールド作りの本質」の違いに直結します。
● ホールドを作る2つの方法。 回内が起きる人と vs 回内が起きない人
◎ 左手前腕に、回内が起きない人は、【腕-91】→【腕-92】の方法
伸ばした左肘を、少しづつ90度の角度に曲げて行くとき、
「左肘と左手首が、ほとんど捻れずに、肘だけを90度に折り畳む人」
は、
両肘を真横に張り、両肘を伸ばして、上腕を外側に回転(外旋)させます。
両肘は、下を向いているはずです。
そこから、
肘と手首を同時に内側に曲げて(肘と手首にねじれは厳禁!)いけば、
結果的に
肘の角度は90度になります。
左肘は、上腕(肩)と連動してますから、左肘は下向きに固定されています。
◎ 左手前腕に、大きく回内が起きる人は、【腕-96】→【腕-97】の方法
伸ばした左肘を、少しづつ90度の角度に曲げて行くとき、
「左腕の回内」が自然に起きる人(肘と手首にねじれが生ずる)」
は、
両腕・両肘を斜め前に伸ばし、てのひらを下に向けて、立ちます。
両肘は、真横、もしくは少し上を向いているはずです。
そこから、
左腕の前腕を、可能な限り「回内」させていきます。
つまり、左腕の肘と手首の間に、強い「ねじれ」を掛けていきます。
結果的に、
てのひらは下を向いているので、強い「回内」でも、手首はあまり動きません。
反動で、左腕前腕の付け根(肘に近い部分)は、外側に回転します。
上腕を内旋させる力(=肘が真横~上を向こうとする力)よりも、
前腕の回内(ねじれ)による、前腕の付け根(肘の近く)の力の方が強いので
両者のぶつかり合いによる、肘は下を向こうとする力によって、安定します。
◎ 先生と違う「習性」の生徒は、「ダンスの落伍者」になる!
左腕前腕の「回内」の傾向が強い人が、【腕-91】→【腕-92】の指導を受けると、右腕が前後にブレまくったり、右肩が上がったりして、散々なホールドになります。
逆に、左腕前腕の「回内」が全く出来ない人が、【腕-96】→【腕-97】の指導を受けると、背中が丸くなったり、クビが折れて下を向いたりします。
生徒を、叱りつけようが、殴ろうが、蹴飛ばそうが、出来ないモノは出来ません。
当たり前です。
左腕の使い方が変われば、「ホールド作りの本質」が違ってくるのですから・・・。
■ 日本の社交ダンスは、左腕前腕の「回内」させないのが基本!
日本の社交ダンスは、「子供から高齢者まで、同じ基礎で踊りましょう!」というのが基本になっています。
高齢者サークルのおじいちゃん・おばあちゃんも、競技会の日本チャンピオンも同じ「基礎」で踊らなければならない。 それが日本の社交ダンス。
左腕前腕の「回内」は、複雑怪奇なので、原則禁止!
あらゆる方法を使って、左腕前腕の「回内」を、極限までゼロに近づける!
ともかく、これを徹底して教えるのが、「日本の社交ダンス」だったりします。
詳しい説明は、後回しにして、実例を見てみましょう。
● 左手の薬指と小指を外すと、左手前腕の「回内」は起こらない
左手の人差指と中指で、相手(女性)の右手を握ります。
まず、この時点で、左手前腕の回内は、ほとんど起きなくなります。
だだ、これだけだと、左肘が持ち上がりますので、左手の親指を深く押し込みます。
そして、薬指と小指の力を、完全に抜き去ります。
これで、左手前腕の回内を、ほぼ完璧にゼロにすることが出来ます。
上腕の外旋(上腕を外側に回す)が維持され、肘を下向きに固定できます。
余談ですが、この篠田先生の説明は、デタラメです。
左手で箸を持つときに使うは、薬指が主役になるので、左利きの人の多くは、人差指よりも薬指に力が入ってしまい、このホールドを作るのは難しいです。
● この姿勢では、左腕前腕の2本の骨は、1ミリたりとも動かない!
この腕の位置は、とても、興味深い。
右手は、社交ダンスのホールドに近い。
左手は、掌(てのひら)を下にして、左手の中指を持ち上げてます。
この姿勢から、左の上腕(肩~肘)を外旋(外側/後ろ側に旋回)させてやれば、綺麗なホールドになりますよ!...ということなのだろうと思います。
右手の中指は、常に「おへそ」の前。
左手の中指は、右手の中指に持ち上げられた状態で、つねにおへその前。
この姿勢で、ボディを左右に回転させたり、足を前後左右に動かして見ると、面白い事がわかります。
ボディに回転を掛けようと、足を大きく動かそうと、左腕の前腕は、まったく「回内」しません。 つまり、まったく、左腕の前腕は捻れません。
それどころか、左腕前腕の2本の骨は、1mmたりとも、動こうとしません。
この左腕(前腕)の使い方を、徹底的に習得すれば、左腕前腕の「回内」を完璧にゼロにしたホールドを作ることができるはずです。
● 右手の手首を折り曲げると、右手の「回内/回外」は不可能
右腕に「五角形のスペース」を作るという方法が紹介されています。
右手首を軽く曲げて、中指よりも前に置く。
これによって、「女性のいるスペースをつくる」とか書いてあります。
でも、実際には、右手首を曲げる(というより、折り畳む)ことによって、右手前腕の回内/回外、つまり、右手の肘と手首の「ねじれ」が、起きないようにしています。
右手前腕の回内/回外が起きなければ、左手前腕の回内も起きません。
つぎに、ヒモを持つ練習。
ヒモが緩まないように、両手の人差指で、ヒモを引っ張り合っています。
左手の人差し指が、引っ張られることで、左腕前腕の回内は、ほとんど無理。
さらに、左手の薬指と小指が、大きくブレるので、左腕前腕の回内は、ほとんどゼロになると思います。
● 「すべてのエクササイズ」は、左手前腕の回内をゼロにするため!
このように、日本の社交ダンスのホールド作りのエクササイズは、
左手前腕の回内、つまり前腕のねじれ、前腕の2本の骨のクロス
を完全に消滅させて、ホールドを作るためのエクササイズだと言えます。
高齢者の中には、(右腕はともかく)左腕前腕の回内が出来ない人も少なくないので、世界で活躍するチャンピオンクラスの競技選手も含めて、「左手前腕の回内をゼロにしましょう」という考え方で、統一しようという考え方には一理あります。
「まったく異なった基礎」が複数あったら、「プロ教師免許」の制度が成り立ちません。
どちらかに統一しよう! ということになった時、どちらを選ぶかは、明白ですね。
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あ
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