0-24:「イングリッシュ・スタイル」における「左前腕の回内」
ダンスにを踊るための大前提!
「社交ダンスは、音楽に合わせて、楽しく踊るのが一番」
「音楽がなったら、自然にボディが反応する」
これが基本・・・なのかもしれません。
自分とパートナーが楽しければ、それがその人にとって「世界で一番、自分にとって、最高の踊り方」になります。 他人の踊り方と比較する必要はありません。
ところが、社交ダンスには、「イングリッシュ・スタイル」なる、怪しげな言葉がある。
これって何?
「オレ様の踊りは、イングリッシュ・スタイルの模範的な踊り方で御座います!」みたいなことを言うヤツがいると、話が厄介になってくる。
■ 「左前腕の回内(ねじれ)」の有無が、本質を変えるのだけど・・・
腕の前腕(肘~手首)には2本の骨があり、その2本の骨をクロスさせるのが、前腕の回内。 これを使うかどうかで、「社交ダンスダンスの本質」というものが、根底から変わってくる。
● 前回までのあらすじ
左前腕の2本の骨が、クロスしていていない時と、クロスしている時では、左手首の角度が変わってくる。
もし、左手首の角度が同じ(女性の右手とコンタクトをとってるため)だとすると、
左前腕の2本の骨が、クロスしていていない時と、クロスしている時では
左肘の角度が違ってくるはず。
社交ダンス(スタンダード)のホールドはは、肘が持ち上がるとNGであり、決まった肘の高さで固定しておく必要がある。
そのためには、肘の前腕側と、肘の上腕側で、逆向きの力を掛けておく必要がある。
【腕-92】は、左肘の上腕側(肩側)が、外側に回転(肘を下に向けようとする力)
左肘の前腕側(手首側)が、内側に回転(肘を持ち上げようとする力)
で、左肘の力を均衡させて、左肘の強固な安定を作っている。
【肘-97】は、全く正反対の力で、左肘の強固な安定を作ってる。
左肘の前腕側(手首側)が、外側に回転(肘を下に向けようとする力)
左肘の上腕側(肩側)が、内側に回転(肘を持ち上げようとする力)
という具合になる。
どちらを選択するかによって、ホールドの本質、ダンスの本質が変わってきます。
● 日本の社交ダンスには、「前腕の回内」という概念が存在しない?
前腕部の回転のところで、
「手首は肘と連動して動くため、意識としては
肘ではなく手首を回すことで回内、回外となる」
と書いてあります。
上腕(肩~肘)を外旋させると、意識的に手首を内側に回転させて「回内」させることは出来るます。
上腕の外旋で、肘を下向きに固定して、手首を回転させてるだけのような気がしますが、どうでしょうか。
上腕を外旋させると、「肘の付け根」から、指を曲げる(拳を作る)ことで、前腕にねじりを掛けるような前腕の動きは、出来ないはず。
この、男女の親指を立てて、くっつけた時の前腕の回内は、左腕上腕の影響を受けやすくなるかと思います。
左腕上腕(肩~肘)を「外旋」させたときは、薬指と小指が完全に浮いた状態になりやすい。
一方、左腕上腕を「内旋」させたときには、前腕の肘の付け根(円回内筋)による回内が掛かりやすくなるので、足の裏で床を踏みつけたときに、上腕が強く「内旋」するはずです。(結果、両足の太腿が、持ち上がりにくくなる)
堀口史朗先生は、左腕上腕を外旋回させたあと、このグリップを作るように書かれていますが、上腕外旋/内旋では、ボディ全体に、違いが出やすいです。
■ 「トッププロ」のレクチャーを確認してみよう!
【腕-91】→【腕-92】と、【腕-96】→【腕-97】は、なにからなにまで、正反対。
前腕の回内の有無、上腕の内旋/外旋。
そしてそれに伴う、ボディの使い方、動きの本質、すべてが正反対。
【腕-92】と【腕-97】は、外見上は同じでも、明らかな別物です。
じゃぁ、「イングリッシュ・スタイル」と称するのは、どちらでしょうか?
どっちも同じ? どっちも「イングリッシュ・スタイル」?? あり得ません。
どの先生のやり方(ホールドの作り方)をしても、結果は同じだろう・・・・とか、考えてしまいがちなのですが、ちょうど両方のレクチャーがあったので、紹介しておきます。
西尾浩一先生のホールドの作り方は、てのひらを上に向けて、両肘を真横に伸ばしてから、ホールドを作ってます。
「ホールドの形は、踵から肩甲骨までと、肩甲骨から両肘までが、アルファベットの『T』の字のように繋がっているイメージが理想です」
と書いてあります。
ところが、この外国人の本を見ると、「両肘は斜め前に」と書いてあります。
両手の掌(てのひら)は、下向きになっています。
ビル・アービン!? それ、誰?
そんな人の踊り、DVDで見たこと無いぞ! と言う人が「殆ど」だと思います。
■ 「究極の内股(うちまた)姿勢」と「究極の開脚姿勢」
ここで、面白い実験をやってみましょう。
両足を肩幅(より少し広いくらい)に開いて立ちます。
ここから、両膝をめいっぱい引き寄せたのが「究極の内股(うちまた)姿勢。
逆に、両膝と爪先を、出来るだけ横を向けたのが「究極の開脚姿勢」。
【注意事項】
開脚の時、絶対に太腿(ふともも)を回転させようとしないでください。
常に、膝と爪先が同じ方向を向くように注意しながら、開脚を行って下さい。
これ、やってみると、面白いことがわかります。
肘を持ち上げた姿勢で、手首に回転を掛けたり、指に力を加えてたり、前腕に「ひねり」が加わったりしたときには、ボディ全体に「面白い変化」が現れます。
「左手に割り箸、右手にどんぶり」の腕の使い方をすると・・・
「開脚」で安定して立つことができるけど、「内股」では立てない。
「左手にどんぶり、右手に割り箸の腕の使い方をすると・・・
「内股」で安定して立つことができるけど、「開脚」では立てない。
という結果になります。
ならば、上の2つのホールドの作り方で、同じことをやってみると・・・どうなるか?
【腕-71】と【腕-76】は、ボディの使い方というより、動きの本質が違うので、いろいろと差が出るのは、予想できます。
両足を揃えて、「究極の内股(うちまた)姿勢」と「究極の開脚姿勢」をやってみると、面白い事がわかります。 結果は表の通り。
なぜ、そうなるのか?
【腕-76】は、【左-32】の「左手に割り箸、右手にどんぶり」と似たような動き。
左手は「前腕の回内」、右手は「前腕の回外」の動きになります。
なので、【腕-76】【左-32】は、開脚OK、内股NG。
【腕-71】は、【右-31】の「左手にどんぶり、右手に割り箸」と似たような動き。
左手・右手とも「手首と肘の同時回転」の動きになります。
なので、【腕-76】【右-31】は、開脚NG、内股OK。
グループ分けすると、こうなります。
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あ
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