2-08:【中締め】 骨盤の動きは、腕の動きと関連があるの?
日本の社交ダンスでは、「骨盤」の動きが重要視されています。
たしかに、そうなのかもしれませんが・・・・・
最後に、「骨盤」について考えながら、このセクションの「中締め」としましょう。
「痛みや悩みを解決する 足についての本当の知識/水口慶高(著)・木寺英史(監修)」
という本の中に面白いことが書いてあります。
「骨盤の左側」と「骨盤の右側」では、傾きが違っているらしい。
骨盤の形状が同じだとするならば、左右の骨盤ががズレた状態で、くっついていることになる。
これ、おもしろいよ!
■ 「腸骨稜」と「ASIS」、どちらでバランス(平衡感覚など)を取っている?
社交ダンスは、両腕を持ち上げ、両肘を固定した姿勢をキープします。
だから、左右の腕、左右の肘で、バランス(平衡感覚など)を取ることが「可能」です。
実際のところ、どうなんでしょうか?
左右の腕・左右の肘でバランスを取っているのでしょうか?
賛否の比率はわかりませんが、賛否両論、あるかと思います。
では、左右の骨盤でのバランス(平衡感覚など)は、ある? ない?
試して見ればわかります。
両手を左右の腸骨稜(骨盤のいちばん高いところ)に当てて、左足を動かしてみます。
【衝-22】左足を横に動かすと、胴体が傾き、右足に体重が乗る。(これって、正しいスウェイ?)
【衝-23】左足を前に動かすと、胴体が回転する。(右足に体重が残ったまま/内股姿勢)
今度は、両手を左右のASIS(骨盤の前かど)に当てて、左足を動かしてみます。
【衝-32】左足を横に動かすと、骨盤は水平に保ったまま、左足が横に動いていく
【衝-33】左足を前に動かしても、骨盤が水平に保ったまま。左足が前に進んでいく。
明らかに、「腸骨稜」でバランスを取ったときとは、違った動きをします。
何故だ!?
なんで、骨盤を「手の指」で押さえただけで、動きが変わるんだ!?
どうやら、原因は、これっぽい。
毎度おなじみの「広背筋」。
広背筋は、背骨の付け根だけでなく、骨盤の腸骨稜の後方にもつながっているらしい。
広背筋は、「腸骨稜~上後腸骨棘(PSIS)」と、上腕骨の小指側を結んでいる。
ということは・・・・
「広背筋を収縮させて、姿勢を作る人」は、「腸骨稜でバランスを取る」ことになり
「広背筋をリラックスさせて、姿勢を作る人」は、「ASISでバランスを取る」ことになる。
これはつまり・・・・・
牛乳瓶(写真は違うけど)を内側に回転させるときに、
【左9】前腕の「肘側」を収縮させる(広背筋の収縮NG)か、
【右9】前腕の「手首側」を収縮させる(広背筋の収縮を増大)か
の違いになってくる。わけで・・・・
行く着く先は、「みるく・ごっく~り」の法則。
【筋-02】左手で牛乳を飲むポーズで、左足を動かすと、【衝-32】【衝-32】のASISでのバランス。
【筋-102】左手で牛乳を飲むポーズで、左足を動かすと、【衝-22】【衝-22】の腸骨稜でのバランス。
社交ダンスを始めるとき、僅かでも右手を先に持ち上げて、脇腹を前に突き出してコンタクトを取ろうとする(背中が丸くなるのを防止)習慣をつけると、ほぼ確実に「腸骨稜」でのバランス感覚になるように思います。
どちらが、正しい社交ダンスなのか、わかりませんが。
(日本の社交ダンスのプロの先生は、「絶対に!」といっていいくらい、そういうこと教えません!)
■ 骨盤の傾きが、左右で違うのは、生まれたときからなの?
骨盤の傾きが、左右で異なる・・・・
そう聞いて、真っ先に、思い浮かべるのが、これ。
腕の回転方向が、左右で逆。
なので、「骨盤よ!おまえもか!!」って具合。
こうやって考えてみると面白いです。
「左骨盤の後傾」が強くなったり、「右骨盤の前傾」が強くなったり、
お互いが逆方にひっぱりしながら、動いてるとしたら・・・・・この動き、面白そうです。
上から見ると、カラダ全体が(筋肉を緊張させたときに)右方向に回転しているように見えます。
単に、「左右の骨盤を同時に前傾させろ!」とか、そういうのとは、違った動きになるはずです。
これは、椅子に腰掛けた時の、「背筋を伸ばして、姿勢を正す方法」の参考にもなりそうです。
あと、どうでもいい話なのですが、左右の骨盤の傾斜のズレは、生まれたときからズレているのか、成長しているうちにズレてくるのか、気になる人は気になるかもしれません。
■ スウェイ(Sway)における骨盤の動き
社交ダンスには、スウェイというのがあります。
「カラダの傾き」というか、「カラダを傾ける」とか、そういう意味です。
右が低くなるのが「右スウェイ」、左が低くなるのが「左スウェイ」があります。
ナチュラルターンの男性の3歩のスウェイは、「直・右・右」です。
スウェイを掛けるときに、「腕の使い方」の違いによって、明らかに「骨盤の動き」が変わってきます。
注意すべきなのは、「腕の使い方」によって、「回転運動を伴うスウェイ」においての骨盤の使い方が、まるっきり変わってくることです。
【左-51】【左-52】では、自然にボディが持ち上がりますから、回転(ターン)の際は、
「骨盤を、全力で外側へぶん投げろ!」「骨盤を外側へ放り出せ!」という意識になります。
骨盤を外側に出そうとしても、ボディが持ち上がるだけで、骨盤は「外」には逃げません。
【右-51】【右-52】では、カラダを傾けると、骨盤は外側に逃げて、腰が折れてしまいます。
回転(ターン)を伴うスウェイにおいては、この現象が増大します。
従って、回転の際には、
「誰かに、ズボンのベルトを掴んでもらって、ベルトをひっぱりあげてもらう」
ような骨盤の使い方をする必要があります。
油断をすると、骨盤が外側に逃げてしまいます。
「どちらのスウェイが正しいか?」ということを考え、ひたすら「自分の理想のスウェイ」を追求し続けることは、それなりの価値があるのかもしれません。
それよりも、レクチャーの説明内容や、競技会やデモででの実際の動きを見て、
「日本人や外国人の上級プロが、
どちらのスウェイをやっているか?どちらの骨盤の使い方をしているか?」
というようなことを、「自分の目で判断できる」ようになることのほうが、価値があるように思います。
このあたりで、このセクションを締めたいと思います。
どうも、ありがとうございました。
|